2007年08月09日

「秒速5センチメートル」



 相 変 わ ら ず 背 景 だ け は 凄 い 奴 。

背景美術だけなら文句無しで日本アニメ最強の男であろう新海誠最新作
前作の「雲のむこう、約束の場所」でそれは十分確信させてもらったのではあるが、今回もその美しさは健在。
ただ、あまりにも背景が凄すぎて人物が負けてるのも健在でした(w。
いや、大分マシになってたと思うけど、明らかに背景に対してキャラの絵が浮いてるんですよ。
例えるなら超一流のオーケストラをバックに声の細い歌手が無理して歌ってるみたいな(w。
これで曲が壮大ならまだ脳内補完もできるのですが、こじんまりした話だからねぇ、わざわざこういう歌手の後ろに豪華なオーケストラ配置する必要性が薄い。
静止画だけだったら間違いなく日本アニメ業界最強なんだろうけどね。

この人の作品を見ているとなんだかんだで宮崎駿の偉大さを痛感する。
たしかに一人、もしくは少人数でこれだけのモノを作るのはすごいとは思うけど、それを差し引いてもキャラ絵、美術、ストーリー、演出、それら全てを一人でしかも一流に出来てしまう宮崎駿がいかに化け物(失礼、でも褒め言葉よ)だったかという話になる。
ついでにいうと、同じ雪国を舞台に、さすがにこれには劣るが、テレビアニメでありながらかなり近い所までやれた「Kanon」の京都アニメの凄さも再認識したがね。

しかし、せっかくこれほどまでの素晴らしい一芸に秀でているんだ。
なんとかして納得行く活用法はないものか?
とりあえずあえてアニメにするのはやめてみてはどうだろう?
紙芝居風味にしてそのうえにセリフと音楽をのせていこう。
人物はあえて後姿を中心に、もしくは横顔までで顔は一切見せない。
枚数を抑えた代わりに徹底的に気合の入った静止画で観客を魅了する。
これなら少なくともLE ROI TRISTEは今以上に楽しめるぞ(w。
もしくはいっそのこと顔出しのほうがメインっぽい人を毎回使っているんだから、あの美術をバックに実写でどうだろう?
それはそれでユニークだと思うけど、以上二つの提案をしている時点で信者の皆さんに確実に殺されるだろうな(w。

話の中身そのものも前回よりはいいと思います。
特に「コスモナウト」の女の子がすごい好きだな。
ああいう結末にするならなんとかしてくっつけてやってほしかった(w。

っていうかね、狙いはわかるし、まぁ、好き嫌いは分かれるかもしれないが、ああいうオチもありだと思いますよ。
あの「メガネの女は誰?」とか「いったいどっからでてきたんですか?」とか「結局なんだったの?」とかそういうことも言いませんよ。
でもね、悪いけど山崎まさよしが浮いてる(w。
あれだけ音楽も映像も合わせてあの雰囲気で今まできて、いきなりアレはないだろ?
明らかに雰囲気違くね?
そう感じるのはLE ROI TRISTEだけですか?

っていうか、新海誠はどれほど天門さんの音楽に助けられているかわかっているのかな?
2作しか見てないから断言はできないが、多分、新海誠作品からあの音楽引いたら確実に魅力は50%は減ると思うよ。
「秒速5センチメートル」はああいう風なことをやるなら、まだ本編の一部である以上引き続き天門さんの音楽を使って雰囲気を統一すべきだった。
せめてアレンジを思いっきり変えるべきだった。
あれじゃあそこだけまるで山崎まさよしのPVみたいになってしまって作品の一部じゃなくなっている。
やるのであれば全て終わった後のエンディングとして流すべきだった。
山崎まさよしの歌そのものはいいと思う。
世界観に合ってると思うしね。
でも使い方はちょっと外してると思った。

想像してみてほしい。
宮崎アニメでいきなり久石さんの音楽をかきわけてどこかのJ-POPがメインの映像が流れるとこを。
押井作品でいきなり川井氏の音楽をかきわけてどこかのバリバリロックがメインの映像が流れるとこを。
今敏作品でいきなり平沢氏の音楽をかきわけてチャムの音楽が、って、あ、それは別にいいか(おい!)。
とにかく上の3人の監督のように新海誠と天門音楽はすでに共同体のような世界を作り上げているのではないだろうか?
ならやはりその世界観を貫き通してこそアーティストってもんじゃないか。
別に売り上げ重視の作家じゃないだろうに(w。
少なくとも上の3人だったらよほどの楽曲じゃない限り外部の楽曲はああいう使い方はしないと思うけどね。

ただ、作品そのものはLE ROI TRISTEとしては好みじゃないだけで、決して悪いとは思いませんでしたけどね。
とりあえず次回作も見てみようとは思っていますし。
でも、過去の作品はわざわざ見たいとは思えないなぁ。
今敏とかだったら過去の作品も思わず観てみたいと思わせてくれたんだが。

posted by LE ROI TRISTE at 18:00| シアトル 曇り| Comment(0) | TrackBack(0) | 邪道式映画評論 [Movie Reviews] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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